NPO法人病院前救護と健康管理研究会

病院救急車/民間救急車活用推進事業

HospitalAmbulance / PrivateAmbulance Utilization

病院救急車・民間救急車の地域活用に関する事業

事業概要

緊急走行しない、緩やかな救急搬送システム」構築・推進に関する事業

 超高齢社会の我が国において、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、医療・介護提供体制の充実強化が必要なことから、厚生労働省では高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう地域包括支援体制(地域包括ケアシステム)の構築に向けた取組が進んでいる。

 一方、令和3年中の総救急搬送人員549万3,658人に占める65歳以上高齢者の割合は61.9%1)で、高齢搬送のうち介護施設からの搬送件数が年々増加傾向である2)。今後も総搬送件数に占める高齢者搬送の割合は増加することが予想されることから、緊急度が低い又は病状が安定している在宅療養者、介護施設入所者搬送においては、消防救急車に代わる搬送手段確保は喫緊の課題である。

 本会は、医療機関に所属する救急救命士(以下、病院救命士)が搭乗する病院救急車、民間事業所に所属する救急救命士(以下、民間救命士)が搭乗する民間救急車の積極的地域活用と安全な患者搬送、在宅、介護から医療機関へのアクセスに関する継続研究を行っている。

引用文献)

1)令和4年版 救急救助の現況 

https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-4.html(2023.年5月アクセス)

2)伊藤重彦ほか.北九州市における高齢者救急の現状と問題点~とくに介護施設からの搬送事案について 日本臨床救急医学会雑誌2016;19:7-12

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/19/1/19_7/_pdf/-char/ja(2023.年5月アクセス)

研究実績

消防救急車に代わる搬送手段に関する厚生労働省、総務省消防庁研究事業1)、2)、3)において、病院救命士が搭乗する病院救急車、民間救命士が搭乗する民間救急車による低緊急又は病状が安定している患者(♯7119緑相当)の転院搬送、迎え搬送の有用性と安全性が確認できた。

  1. 平成30年度厚生労働科学特別研究事業「消防救急車の代替搬送手段における病院救急車の活用に資する研究(代表研究者 伊藤重彦」
  2. 令和2年度厚生労働省助成事業「福岡県病院救急車活用モデル事業(代表研究者伊藤重彦」
  3. 平成29〜31年度消防庁消防防災科学技術推進制度消防防災科学技術推進制度重要施策プログラム「緊急度判定プロトコルの精度の向上・現場での活用に関する研究 (代表研究者 森村尚登)」分担研究「地域包括ケアシステムにおける救急搬送のあり方の関する研究(分担研究班班長 伊藤重彦)」

『緊急走行しない、緩やかな救急搬送システム』イメージ